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「杉の花粉」の独断と偏見に満ちた愛読書紹介コーナー

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2 『愛国心』批判

 『愛国心』?

 私は『愛国心など人から教えて貰ったり、強制されるようなものではない。』と考えています。

 仲の良い人がこう言ったことがあります。
 「アフリカを独りで旅していて、苦労して欧州に到着した時に、飛行機の尾翼の赤い鶴のマークを見て、漸く自分の故郷と繋がったという気がした」
 昔のJALのマークです。

 私も独り発展途上国を彷徨っている頃、道行く人に「Change Money?」と声をかけては、外貨の闇交換をしている小父さんがいます。
 その前を通ると、小汚い私の格好を見て、素知らぬ振りをした時など、『貴様!大日本帝国を舐めるな!』と心の中で罵倒した覚えがあります。

 日本国は私の祖国です。
 非常に大切な国です。

 だからと言って『愛国心』などと言われても困ってしまいます。

 『お国のために戦えるか』
 『自分の大切な家族を守るために戦えるか』
 なんて『考え方』『愛国心』には張り付いています。

 『真っ平御免』です。

 『祖国のために死んでいった。』
 『愛する家族を守るために死んでいった。』

 『英霊』など詭弁です。

 私には『靖国』には、『為政者に騙された馬鹿な人間が眠っている場所』という哀しい思いしかありません。

 抽象概念である『国』など守りようがないじゃないですか。
 少し考えれば誰でも判ることです。

 『国』を守るということは、『其の時の為政者』を守ることに他なりません。

 『愛する家族を守る?』
 家族と離れて戦地に派遣され、如何やって家族を守ると言うのでしょう。

 国外の戦地で地獄を見ている間に、本土空襲で『家族』失った多くの人々がいます。

 何故、その反省をしない!
 馬鹿な過去を顧みない!

 勝ったとしても『戦争』で得るものなんて多寡が知れています。
 『戦争』で失うものに比べれば、本当に僅かなものです。

 ああをとうとよ、君を泣く、
 君死にたまふことなかれ

 末に生まれし君なれば 親のなさけはまさりしも、
 親は刃をにぎらせて 人を殺せとをしへしや
 人を殺して死ねよとて 二十四までをそだてしや
 堺の街のあきびとの 旧家をほこるあるじにて 親の名を継ぐ君なれば
 君しにたまふことなかれ。

 旅順の城はほろぶとも、 ほろびずとても何事ぞ、
 君は知らじなあきびとの 家のおきてになかりけり。

 君死にたまふことなかれ、 すめらみことは戦ひに
 おほみづからは出でまさね

 かたみに人の血を流し、 獣の道に死ねよとは
 死ぬるを人のほまれとは、 大みこころの深ければ
 もとよりいかで思されむ。

 ああをとうとよ戦ひに 君死にたまふことなかれ。

 すぎにし秋を父ぎみに おくれたまへる母ぎみは
 なげきの中にいたましく わが子を召され、家を守り、
 安しと聞ける大御代も 母のしら髪はまさりぬる。

 暖廉のかげに伏して泣く あえかにわかき新妻を、
 君わするや 思へるや、十月も添はでわかれたる
 少女ごころを思ひみよ、この世ひとりの君ならで

 ああまた誰をたのむべき 君死にたまふことなかれ


 『君死にたもう事なかれ』
 与謝野晶子の哀しみです。
 私の雑文など消し飛んでしまいます。

 戦争が始まったら、この詩を『懐』に家族全員で『国外に逃亡する心算』です。
 毛頭にも戦闘に参加する心算はありません。


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